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日本人がライティングで直面する「壁」

「英作文は『英借文』」という言葉があります。これは至言だと思います。自分がいろいろと考えて書いた英文が、ネイティブから見たら不自然だったという体験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。私にも同じ体験があります。大学卒業後、出版社に就職し、英語学習誌の編集部で働き始めました。新人にも挑戦しがいのある仕事をたくさん割り振ってくれる上司に恵まれ、英語で記事を書く機会も与えられました。必死に英文記事を書くのですが、ネイティブの英文校正者から見ると、私の記事は意味は通じるけれども英語として不自然な表現があり、あちらこちら赤字で直されることになったのです。

ネイティブから見たら「英語として不自然」 ― これは私も含めて、日本でごくごく一般的な英語教育を受けてきた日本人がライティングで直面する壁ではないでしょうか。この壁に直面していたときに、職場でお世話になっていた上司から「良い英文を書けるようになりたかったら、その何倍も英文を読むように」とアドバイスを頂きました。つまり、モデルになるよう良質の英文を膨大に読んでいくことで、自分の英文を磨いていくということです。

日本語であっても、「書く」のは「読む」よりも数倍むずかしいですよね。それが「外国語」である英語であれば、なおさらです。私の場合、大量に「インプット」して、ようやく少し「アウトプット」できるというのが実情だと感じています。

アウトプットのために、読む!読む!読む!

では、アウトプット向上のために、どんなものを読めばよいのでしょうか。私が職場の上司にアドバイスを頂いたときは、英語圏の雑誌をおすすめしてもらいました。当時は「紙」の雑誌が主流だったのですが、現在ではネットで膨大な数の英文記事が読めるようになりました。これを活かさない手はありませんよね。

ウェブには、英語圏の新聞社の記事、個人のブログ記事、英語ネイティブの tweets など、あらゆるタイプの英文があります。ここでは、英語圏のメディアの記事を例として挙げます。英語圏のオンライン記事を読むときに便利なのが、「Google ニュース検索」です。検索窓に自分が関心のあるキーワードを入れることで、それにちなんだニュースがヒットします。たとえば、アマゾンの Kindle(キンドル)について、英語圏の記事を読みたいと仮定します。

画像:「Google ニュース検索」で amazon kindle と入れて検索。

このようにすることで、アマゾンの Kindle に関する記事がヒットするのです。いくら英文をたくさん読むのが重要といっても、自分にとって関心のない分野の英文を延々と読むのは、相当に苦痛ではないでしょうか。ですが、上記のように「Google ニュース検索」を活用することで、関心のある分野の記事がピンポイントで探せます。

iPhone やノートを使って、英語表現をストックしておく

アウトプットを念頭に置いて英文をドシドシ読んでいくときに、私が重要だと考えているのが、インプット用に気になる英文&英語表現をストックしておくことです。私の場合は、状況に応じて、「iPhone を使って、自分にメールを送っておく」「ノートに書き留めておく」という2つの方法を併用しています。

まず、iPhone 活用編です。私は自分が将来使いたい英語表現を発見したとき、iPhone を取り出し、自分の Gmail メールアドレス宛てにその英語表現を送っておきます。その際、件名に「英語表現:○○」などと後で検索しやすいキーワードを入れておくことがポイントです。私の場合、Gmail は単にメールのやり取りをする場所ではなく、英語表現の「ストック場所」でもあるのです。

次にノート活用編です。私がノートを使うのは、映画や海外ドラマを DVD やネットで見るときです。ノートの場合、用途に応じて蛍光ペンで色分けしています。「緑:将来使ってみたい」「黄色:心に響いてきたセリフ」「ピンク:面白い慣用表現」と色分けすることで、見直しがしやすくなっています。

Google は英作文の家庭教師

Google 検索は使い方次第で、「英作文の家庭教師」に変化します。「自分が書いた英文は、英語圏で本当に使われているような自然なものなのだろうか」― これは英語でライティングに挑戦しているときにフツフツとわき上がってくる疑問ではないでしょうか。

身近に自分の書いた英文を添削してくれる英語ネイティブの専門家がいればよいですが、そうした恵まれた状況はなかなかありませんよね(*ただし、最近では Lang-8 という相互添削サービスもあります)。自分の書いた英文が正しいのか、間違っているのか・・・わからないまま放置していたら、ずっと間違った表現を使い続けることもありえます。

「身近に英作文の先生もいない!」「どうしよう!」と困っている方におすすめなのが、Google を「英作文の家庭教師」として活用することです。私は社会人になってから Google 検索を使い始めたのですが、当初は日本語の検索用に使っていました。ですが、勤務していた出版社の先輩(*日本語と英語のバイリンガル)が英語圏でどのような英語表現が普及しているのかを調べるのにも Google を使っていることを知り、「Google 検索は、英語表現の勉強にも使えるんだ!」と大いに参考になったのです。

ただし、Google を英作文の家庭教師にするには、ちょっとしたコツがあります。それをご紹介しますね。まず大事なのが、英作文で活用したい場合は、日本語版 Google.co.jp でなく、英語版 Google.com を使うことです。

「半角ダブルクォーテーション」でくくる

絞り込みで重要になってくるのが、半角ダブルクォーテーション(" ")マークです。Google 検索の際、このマークを付けずに検索すると、膨大な数のページがヒットしてしまいます。ですが、半角ダブルクォーテーション(" ")マークでフレーズや英文をくくると、ズバリその表現を使ったものだけがヒットするのです。

一つ、例をご紹介します。たとえば、"I look forward to working with you in the future" という英文が英語圏のサイトでどのぐらい使われているかを知りたかったとします。まず、半角ダブルクォーテーション(" ")マークでくくらずに検索した場合を見てみましょう。

画像:Google.com で I look forward to working with you in the future を半角ダブルクォーテーションでくくらずに検索した場合、2億件以上ヒットしてしまいます。

では、次に半角ダブルクォーテーション(" ")マークでくくった例を見てみます。

画像:"I look forward to working with you in the future" と半角ダブルクォーテーション(" ")マークでくくった例。約63万件に絞り込まれています。

このように、自分の気になる英文&英語表現がどんなサイトで使われているかズバリ知りたい場合には、半角ダブルクォーテーション(" ")マークでくくることがカギとなります。

多様な英語表現を調べるのに役立つ *(アスタリスク)

半角ダブルクォーテーション(" ")マークに加えて役立つのが、*(アスタリスク)です。たとえば、It has been very humid lately.(最近とても蒸し暑い)という英文を自分で書いたとします。そのとき、ふと「humid の前にくる副詞は very 以外に何があるんだろう?」という疑問がわいてきたとします。こうした状況で *(アスタリスク)が大いに役立つのです。

方法としては、"It has been very humid lately" の中で very の個所を *(アスタリスク)に置き換えるだけで済みます。まず、そのまま "It has been very humid lately" で調べた例を見ておきましょう。

画像:"It has been very humid lately" で調べてみると、6,000件ほどヒットします。

次に、"It has been * humid lately" と *(アスタリスク)を入れた例を見てみます。

画像:"It has been * humid lately" で調べてみると、6万件ほどヒットします。

ここでヒットした例を見ていくと、very humid 以外に、so humid や extremely humid といった表現が使われていることが判明します。このように検索結果をつぶさに見ていくと、英語圏でどのような英語表現が使われているのかがわかり、非常に勉強になります。表現の多様性を学ぶ上で *(アスタリスク)は大活躍しますので、ぜひ使ってみてくださいね。

英語でアウトプットする場所としてのTwitter

仕事で英語文書を読み書きするビジネスパーソンを除くと、英語で文章を書く必要性に迫られている方は少ないのではないでしょうか。せっかくたくさんの英語表現をストックしていても、使わなければ宝の持ち腐れになってしまいますよね。そこで、私が英語でアウトプットする場所として最適だと考えているのが、Twitter です。

学校で英作文を習ったときは、「○○(*課題となる和文)を英訳せよ」といった形式で、「自分のこと」についてではなく、他人事のような内容を英訳しなければならなかった経験がありました。他人事のような内容であっても、もちろん大いに英作文の勉強にはなります。ですが、自分の生活とは接点がない内容を訳していくのは、正直それほど面白いものではありませんでした。私が「Twitter って、楽しい!」と感じるのは、自分の人生に根差した内容を英語でアウトプットできる場所だからだと思います。

私が「語学ツール」としての Twitter を認識し始めたのは、2010年初頭でした。当時、まだ Twitter のアカウントを取得していなかったものの、存在が気になるSNSでした。アメリカで始まった Twitter の利用者の多くは英語圏の人々で、生きた英語の宝庫だと感じ始めたのです。これほどの「英語の海」を英語学習に活用できないだろうかと考えて、当時勤務していた出版社で、『今日から英語でTwitter ― つぶやき英語表現ハンドブック』(語研)の企画を立案しました。企画が会議で通り、企画立案・制作責任者として、書籍制作を開始しました。

制作した『今日から英語でTwitter ― つぶやき英語表現ハンドブック』(語研)は、(1)Twitter を英語学習に活用するためのアドバイス〈導入編〉(2)Twitter で使える、つぶやき英語表現集894(3)Twitter 愛好家おすすめアカウント60 という構成になっています。「Twitter に興味はあるけれど、英文を書くのは苦手」「もし自分の書いた英語が間違っていたら、どうしよう」という悩みをお持ちの方も多いのではないかと推察します。(2)のつぶやき英語表現集では、英語で Twitter を楽しんでいる英語講師やバイリンガルの方6名にご協力いただき、Twitter で使える例文をご紹介しています。英語に苦手意識のある方は、ぜひ本書の例文をドシドシご自身のツイートに活用して使っていただきたいです。

英語でライティングの技法を学ぶ

ライティングの教科書として何か一冊おすすめを尋ねられたら、私は The Elements of Style(Longman Publishers)を推薦します。薄くて非常にコンパクトな本なのですが、英文を書く上での重要事項がビッシリ詰まっています。特に本書の中の An Approach to Style という章に出てくる21個のアドバイスは、日本語の文章を書くときにでも参考になります。平易な英語で書かれているので、ぜひ手に取っていただきたい1冊です。

TOEIC 問題集でビジネス英語表現を吸収する

TOEIC については英語勉強法の「TOEIC」コーナーで詳しくご紹介しましたが、TOEIC 問題集は使い方次第でビジネス英語表現を吸収できる、格好の学習素材になります。TOEIC を受験したことのある方は実感されていると思いますが、この試験では崩れていない丁寧で正統派の英語表現が次々に出てきます。つまり、ビジネス英語文書&英語表現の宝庫なわけです。TOEIC 問題集を解いて答え合わせをして終わりではなく、そこから一歩踏み込んで、自分にとってモデルになる英文&英語表現を吸収するつもりで取り組んでみると、問題集を何倍にも活用できますよね!
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