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音楽の力で「心地良い学習空間」を作り出す

私の場合、大学時代は基本的に自分の部屋や学内図書館で勉強していて、カフェで勉強する習慣は全くありませんでした。大学生のとき、完全禁煙のカフェがほとんど周りになかったことも一因ですが、「カフェで勉強」というスタイル自体、大学生の間でまだ定着していなかったように思います。

私がカフェを勉強や仕事場所として活用するようになったのは、社会人になってからです。当時住んでいた街の駅前に Starbucks(スターバックス)があり、会社での仕事が終わって帰宅する途中で立ち寄って、本や雑誌を読んだり、資料を読み込んだりするようになりました。Starbucks の公式サイト(英語版)を見ると、スタバの目指すところは、”a third place between work and home”と紹介されています。「仕事場」と「自宅」の間を取り持つ、「第3の場所」 ― 私もこの「第3の場所」がすっかり気に入りました。

ですが、私が気に入っていた近所のスタバは22時に営業終了。仕事が忙しいときは最寄り駅に着くのが22時を過ぎてしまうことが多々あり、そう頻繁に行けるわけではありませんでした。その後、別の街に引っ越しました。フリーランスとして自宅で仕事をするようになり、今度は自宅で心地良い仕事環境を作り出すことのほうが重要になってきました。ときどきカフェに気分転換に行くことはあっても、これからは自宅こそ一番の仕事場所。その場所を心地よくすることが必要になってきたのです。

自宅を「スタバ化」する

そこで、自宅を意図的に「スタバ化」することを思いつきました。「どうして自分はスタバだと長居したくなるのだろう?」と考えたとき、店内で流れる音楽が自分の好みだということに気がつきました。スタバの心地良い雰囲気を作り出している要素には、「コーヒーの香り」だけでなく、「音楽」も含まれていますよね。そこで、自室で仕事・勉強するときも、「スタバっぽい音楽」を流すようにしてみました。

私がいろいろと試みた結果、カナダのジャズ専用ラジオ局 「JAZZ.FM 91」から流れてくる音楽が、一番スタバらしい雰囲気に満ちていることがわかりました。現在、私は Jazz. FM 91 の iPhone アプリ(無料)を使って、部屋で曲を流しています。そうすると、たとえコーヒーを飲んでいなくても、なぜか部屋がスタバっぽくなるから不思議です。音楽の持つ力は想像以上に大きいですね。

画像:「JAZZ.FM 91」公式サイトより

どんな学習環境がしっくりくるかは、人それぞれだと思います。私はもともと中学時代に吹奏楽部に所属していたり、ミュージカル映画が好きだったりすることから、「音楽」がそばにあるほうが心地良いようです。スマートフォンをお持ちの方は、いろいろな音楽アプリを試して、ご自分にピッタリのものを見つけてみるのはいかがでしょうか。ご参考までに、JAZZ.FM 91 以外で、私が iPhone 経由でよく聴いている、お気に入り Podcast をご紹介します。


英語学習は長期戦で、日々の積み重ねがモノをいいます。長期戦であれば、その場所を心地良いものにしたほうが長続きするはず。一見味気ない部屋であっても、「音楽」やそのほかの工夫で「心地良い空間」に作り上げることは可能だと私は考えます。

やる気を失ったときの対処法

どんなに学習環境を整えても、ときに精神面で英語の勉強に嫌気がさすこともあるのではないでしょうか。私自身、英語教育の分野で働いている現在でも、ときどき落ち込んだり、嫌気がさします。そんなときに自分を鼓舞してくれる本や言葉があります。それらを「お金」「才能」「意識」に分けて、ご紹介します。

「お金」と「英語力」の関係

学生時代、私は同じ学校内であっても、同級生の間にかなり経済格差があるものだと感じていました。とりわけ中学・高校時代は、お金持ちの家庭の同級生が夏休みを利用して、海外旅行に出かける姿を羨望のまなざしで見つめていました。中学時代、同じ部活の仲間が夏休みにアメリカを旅行すると聞いたときは、とてつもなく遠い世界のことのように感じたものです。私は中学・高校を通じて海外旅行に行く機会はなく、街で旅行会社が無料で配っている旅行パンフレットを繰り返し眺めては、自分なりに海外へのあこがれをふくらませていました。

そうした環境で私を支えてくれたのは、数々の本でした。なかでも「英語学習法」という観点から一番多くを吸収したのは、『英語研究者のために』(田中菊雄さん・講談社学術文庫)です。今でも手元に置いてあります。
*残念ながら、現在絶版です。ただし、所蔵する図書館はあります。

この本は、高校2年生の春に東京・神保町にある三省堂本店で見つけた文庫でした。田中菊雄さんは小学校卒業後、当時の国鉄で働きながら独学で英語を勉強し、優れた英語研究者になった人物です。私が生まれる前に亡くなっていたので、どんな方なのか直接は存じ上げません。でも、貧しさの中で英語を学ぶ姿に鼓舞されました。お金がそれほどなくても、工夫次第で英語の勉強はできるとこの本が教えてくれたのです。お金の有無を「英語ができない」理由にはしないぞと、胸に刻みました。

現在、不況下で進学するお金に困っている中学生や高校生もいるのではないかと推察します。私の場合、大学の学費は約3分の1が給付奨学金として免除になり、残りは自分で支払いました。探し出せば、学業成績と経済状況に応じて給付奨学金が出る大学もあります。大学卒業後は企業に就職し頑張って働いてきましたが、今度は在職中に他社で実施している社会人向け留学スカラシップ制度「テンプスタッフ・ワールドワイド・スカラシップ」(*社会人であれば、誰でも応募可)にも挑戦し、2009年に人生で初めて9カ月間、海外(アメリカのシアトル)で学び生活する機会に恵まれました。見ず知らずの、自社の社員でもない私に奨学金を給付して下さったことには、どんなに感謝しても感謝しきれない気持ちです。

世の中探し出せば、やる気のある人に手を差し伸べてくれる奨学金制度が日本にはある ― これは本当にありがたいことです。私は今でもこれら二つの奨学金に対して感謝しているので、各種奨学金制度を見つけたときは、恩返しの気持ちで Twitter でご紹介するようにしています。

語学の「才能」を考える

大学に入学後、海外育ちの同級生に囲まれて、彼らの圧倒的な英語力を目の当たりにし、「どんなに頑張っても、独力では超えられない壁があるのかも・・・」と挫折しかけたときがありました。語学の授業の帰り道、目に涙が浮かんできたこともあります。そんなとき、『ハリー・ポッター』の翻訳を手がけていらした松岡祐子さんの講演会を大学で聴講する機会がありました。

松岡さんは帰国子女ではないにもかかわらず、大学卒業後、同時通訳者をなさり、その後翻訳者として活躍されている方です。ご自身を『ハリー・ポッター』の登場人物の中では、「ハーマイオニー」に近いとおっしゃっていました。講演会のタイトルが「魔法のかけ方、教えます」だったと記憶しているのですが(*すみません、約10年前の講演会だったので、もしかしたら表現が一部違うかもしれません!)、『ハリー・ポッター』の翻訳をなさる方ならではで、「魔法」という言葉がタイトルに出てきたことを覚えています。

お話を通じて松岡さんが私たちに伝えたかったのは、「英語力を伸ばす唯一の魔法は、努力」だと当時の私は理解しました。この言葉は今でも心の中でこだまのように響いていて、英語力は「かけた時間」次第だと考えています。

社会に出ていろいろな人に出会うと、「もの覚えがいい」「音感が優れている」など、語学に役立つ「才能」を持っている人は世の中には確かにいると感じます。やはり、うらやましい気持ちになります。ですが、私が個人的に知る英語の達人たちは、皆さん例外なく、英語に触れている時間が人一倍長いです。学習法は異なっていても、時間をかけている点は共通しています。才能の有無にクヨクヨするよりも、英語に触れる時間を長くすることだと自分に言い聞かせています。

英語はやっつける「敵」ではない

一見「英語」とまるで関係のない漫画やアニメが、勉強を続けていく上で支えになってくれることがあります。私の場合、背中を押してくれたのは、『銀河鉄道999』『スラムダンク』『ドラゴンクエスト ― ダイの大冒険』『ロミオの青い空』『ちはやふる』『宇宙兄弟』でした。『ちはやふる』と『宇宙兄弟』は社会人になってから読んだ漫画です。どの作品も大好きなのですが、「英語習得」という観点から、『ちはやふる』を例として紹介させてください。
2010年に『ちはやふる』(末次由紀さん・講談社)という漫画を知り、百人一首の世界に魅了されました。コミックを読みながら、不覚にも涙がポロポロ流れてしまい、大変なことになってしまいました。同時に、この名作には英語習得に通ずるヒントがあふれていて、「百人一首と英語上達の秘訣は似ている!」と胸が熱くなりました。

たとえば、コミック第1巻に「百人一首は全部で百首。百人友達ができたと思って仲よくなりなさい」という先生の言葉があります。百人一首が覚えられない主人公の女の子が先生に相談したときに、返ってきた言葉です。この「仲良くなる」という感覚が、語学でも大切だと思ったのです。新しい英単語や英語表現を学ぶとき、こういう気持ちで勉強できたら最高ですよね。

大学時代に学習塾と予備校で、中学1年生から予備校生まで幅広い年代の子たちに英語を教える機会に恵まれましたが、「英語」に対する思いが中学1年生とそれ以降では全く異なることに驚いたことがあります。

夏期講習で中学1年生のクラスを担当したときは、子どもたちは出合ったばかりの新たな世界(=英語)に興味津々なことが伝わってきました。ところが、同時に担当した中学2年生のクラスでは、英語は「やっつける敵」「受験で必要な科目の一つ」に変貌していました。たった一年で、英語は好奇心の対象ではなくなってしまう子が多かったのです。

私は学校で「ここは試験に出るから覚えておきなさい」と言われるのが苦手でした。「試験に出なくても、自分が大事と思うことは深く勉強する」スタイルが自分には合っていました。「試験に出るところだけ覚える」を習慣にしてしまうと、英語は点を取るためだけの「科目」になってしまうように思います。

中学1年生の子どもたちの好奇心旺盛なまなざしを思い出すたびに、襟を正される思いです。中学1年生の春にABCのつづりを習ったときの気持ちを、私自身いつまでも忘れたくありません。その気持ちを忘れない限り、英語力はこれからもドンドン伸びると信じています。
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